家に帰ると
すぐに 暖炉に火をつけた
シングルファーザーの 私と
まだ 幼い 我が子
妻に先立たれ
大切な
忘れ形見の 娘と 二人暮らし
彼女は
日に日に 妻に似てくる
いつか
彼女を 幸せに してくれる
誰かが 現れたら
素直に 喜べるだろうか?
などと
ハラハラする 私だが
いつかは
バージンロード に
娘と 歩きたい と思っている
新しい 娘のパートナーに
私からの
私からの 最初で最後の願い
娘を よろしく頼む
そう言うと 私は
バージンロードに
娘の手を引き 彼の元に辿り着き
バトンを渡すように
彼の手を 委ねた
幼い頃を思い出し
感極まる 娘の涙に
シングル 父親 生活の果て
目がしら 熱く 泣かぬものかと
思うほどに 涙が止まらなかった
くちづけ
祝福の 声 拍手
チャペルの鐘が 鳴り続けた
そんな想像をしながら
暖炉で 温まる
父娘の ささやかな 休日に
いつか 妻が
生きていた頃を
彼女が 生きてくれると
暖炉は ただただ
僕らを温めてくれるのでした。